【予算10万円台で買う満足時計】これからの時代、10万円台でも3日巻き以上がスタンダードに?/便利なロングパワーリザーブ機

週末に時計を外していても週明けすぐに使える便利さ

 ここ数年来の傾向だが、高級時計において自動巻きのロングパワーリザーブ化が著しい。

 機械式ムーヴメントの駆動時間、すなわちパワーリザーブは約38〜42時間が標準。この標準値を超えるものが一般にロングパワーリザーブとされる。

 自動巻きの場合、腕に着けていればパワーを消費すると同時に自動巻き機構がゼンマイを巻き上げてパワーを補充するため、ロングパワーリザーブである必要はなさそうだが、世界的な時計ブームのなかで複数本所有するユーザーは珍しくない。
 そうしたなかで、週末はいつも着けている時計を外してほかの時計を着けるという使い分けも増えている。
 その場合、概ね金曜の夜に外して月曜の朝に再び着けるというサイクルになるが、土日の丸々2日間に加えて、月曜の朝までゼンマイが巻かれなくても止まらないパワーリザーブの長さが要求されることになる。

 ロングパワーリザーブモデルはこれまでウン十万、ウン百万の高級時計が主流だったが、昨今は10万円台の価格の時計にも見られるようになった。

 いまのところ、スウォッチグループ傘下のブランドのようにムーヴメント開発環境に恵まれたブランドに留まっているが、10万円台の価格の時計でもロングパワーリザーブモデルが普及してくると、今後は他社も追随せざるを得なくなってくるに違いない。

80時間パワーリザーブを実現したハミルトン専用高性能ムーヴメント

HAMILTON ハミルトン

 2014年公開の映画『インターステラー』で父と娘をつなぐ大切な時計として登場した通称“マーフ ウォッチ”を19年に製品化したのが本作。

 劇中に登場したモデルを忠実に再現したデザインも注目だが、約80時間のロングパワーリザーブを実現した自動巻きムーヴメントCal.H-10を搭載しているのもポイント。

 ロングパワーリザーブも注目だが、緩急針のないフリースプラングテンプであることも見どころ。ちなみに振動数は毎時2万1600振動。

時計:カーキ フィールド マーフ オート
Ref.H70605731。SS(42mm径)。10気圧防水。自動巻き(Cal.H-10)。12万1000円

【時計に関する問い合わせ先】
ハミルトン/スウォッチ グループ ジャパン
TEL:03-6254-7371
https://www.hamiltonwatch.com/ja-jp

 

 

MIDO ミドー
 ミドーが採用する約80時間パワーリザーブの自動巻き、Cal.80 COSC Si。シリコンヒゲゼンマイを持ちクロノメーターまで取得しているのに10万円台後半の価格いうのはまさに驚異的と言える。特にミドーではクロノメーター版のラインナップがほかよりも豊富にそろう。

 

TISSOT ティソ
 80時間パワーリザーブの自動巻き、パワーマティック80は耐磁性に優れたシリコン製ヒゲゼンマイを採用。アンダー10万円のモデルでも採用されている。クロノメーター仕様についてはさすがに10万円台だ。画像はTissot Ballade Automaticのムーヴメント。

 

 

文◎佐藤杏輔(編集部)