【イギリス、スペイン、ベルギーから選びました】マニア心をくすぐる、“個性派クロノ”3選

》日本未上陸ブランドならではの、個性的なデザインが魅力的

 様々な種類が開発されている腕時計のなかでも、時計好きから特に高い人気を得ているクロノグラフ。時計ブランドの多くは、コレクションのなかに必ずクロノグラフをラインナップしているので、その種類とデザインはかなり多い。しかし、そうしたクロノグラフを見ていると、日本で販売されているクロノグラフが、どれも似たようなデザインであることに気が付くことだろう。

 そこで、今回はクロノグラフで個性的なデザインを探している方に向けて、日本未上陸ブランドの中から、デザイン性が高く、独創的なデザインを採用したクロノグラフを紹介する。

 フェラー、ピタ・バルセロナ、ラディオンと、欧州で創設された3ブランドを選んでみたのだが、どのモデルも、ブランド・アイデンティティ、デザイン性が明確でとても魅力的だ。今後も、テーマを変更しうつつ、このような個性的なブランドの動向を紹介していきたい。


【FARER(フェラー・ウォッチ)】

 フェラー・ウォッチは2015年に設立されたイギリスのブランド。機械式時計の黄金期とされる1960年代から、個性的なデザインが流行した70年にかけて、オメガ、ユニバーサル・ジュネーブ、ゾディアックなどのスイスの時計ブランドが製造した時計にオマージュを捧げたウオッチメイキングを特徴としている。湾曲したボンベ文字盤、ドーム形風防、文字盤や針などの細部に施された鮮やかなカラーリングなど、当時の時計からインスピレーションを得たダイナミックなデザインと、とクラフトマンシップを融合した時計が魅力的だ。

フェラー・クレスタ・クロノグラフ・スポーツ

 色使いが特徴的なベルニナ・クロノグラフ・スポーツは、スイス・アルプスで開催される “ベルニナ・グランツーリスモ”のレースからインスピレーションを受けて製作された、同レースのオフィシャルウオッチ。
“ベルニナ・グランツーリスモ”は、サンモリッツ郊外のラ・ローザからホスピツィオ・ベルニナまで最新鋭のフォーミュラーカーやクラシックカーが参加し、高低差がある5.7kmのコースに50を超える難しいカーブをチャレンジするレースである。

 レトロな雰囲気を感じさせる41mmのオーバルケースに、ミニッツスケールが刻印されたブルーのアルミニウムベゼル、レーシングレッドとブルーのクロノグラフ針、メリハリの利いたデザインが印象的で、 風防はサファイアクリスタル、シースルーバックにはフラットなサファイアエキシビジョンガラスを採用。搭載しているセリタ社製のCal. SW510 BH(Elaboreグレード)を鑑賞できる。
■SS(41×44mmサイズ)。10気圧防水。手巻き(Cal. SW510 BH)。1955米ドル(約21万5000円)

》フェラー・ウォッチ公式サイト
https://usd.farer.com


【PITA BARCELONA(ピタ・バルセロナ )】

 ピタ・バルセロナは、スペイン・カタルーニャ州の州都、バルセロナを拠点とする独立系ウオッチブランド。創業者でマスターウオッチメーカーのアニセト・ピタとCEO兼ブランドデザイナーのダニエル・パストールは、バルセロナの美しさ、特に際立っている建築物からデザインインスピレーションを得て、唯一無二と言える時計を製造している。

 アニセト・ピタは、1971年に時計とジュエリーのアトリエを開設して以来、独学で技術を磨いた時計師である。彼は、2005年から独立時計師アカデミー:AHCI(Académie Horlogère des Créateurs Indépendants)のメンバーとなっているが、これはスペインの時計師として史上初の快挙であったようだ。

ロードスター

 ケースデザインスタイルは、プッシュボタンとリューズをケースの12時位置にレイアウトしたブルヘッドクロノで、車のダッシュボードを思わせるアシンメトリーなサブダイアルが特徴的でもある。ケースの素材にはグレード5のチタンまたはアルミニウムが採用されており、ケースの仕上げも数種類から選択が可能である。

 ムーヴメントには、スイスのETA社製のCal.Valgranges A07.211を採用。44mmのダイナミックなフォルムのケースは裏面がシースルーバックになっており、ムーヴメントの動きを楽しめる。
■TI(44mm径)。3気圧防水。自動巻き(Cal.Valgranges A07.21)。4900ユーロ(約64万円)

》ピタ・バルセロナ公式サイト
https://www.pita.es


【RAIDILLON(ラディオン)】

 ベルギーで著名なプロダクトデザイナーのアクセル・エントヴェン氏が2001年に創設した時計ブランド。時代を超越しつつも個性的なケースデザインと、ヴィンテージの雰囲気を醸し出すカラーリングが印象的だ。
ベルギーでデザイン、スイスで製造ば行われており、この“41-CIC-304”は、ベルギーのワロン地域リエージュ州ににある有名なスパ・フランコルシャン・サーキット内にあるカーブ名、ラディオン(ドライバーはこのカーブを時速300km以上のスピードで通過する)に由来する。

 各モデルは55本の限定生産となっているが、この限定数もスパ・フランコルシャン・サーキットに出場できる車の最大参加台数が55台であった歴史をオマージュしたものである。

クロノグラフ41-CIC-304

 右サイドを直線的なフォルムに仕上げた独創的な41mmのケースが特徴となっており、ムーヴメントは、ETA社製のCal.7750を採用。シルバーの文字盤にオレンジ色のインデックスを配したレーシーなデザインが魅力的だ。風防はサファイアクリスタルを採用。55本の限定生産で、文字盤の左側にはシリアルナンバーがレイアウトされている。
■SS(41mm径)。10気圧防水。自動巻き( cal.ETA7750)。限定55本。3950ユーロ(約51万円)

》ラディオン公式サイト
https://www.raidillon-watches.com


文◎William Hunnicutt
時計ブランド、アクセサリーブランドの輸入代理店を務めるスフィアブランディング代表。インポーターとして独自のセレクトで、ハマる人にはハマるプロダクトを日本に展開するほか、音楽をテーマにしたアパレルブランド、STEREO8のプロデューサーも務める。家ではネコのゴハン担当でもある。

https://www.instagram.com/spherebranding/